教育LARPの実行とRPG研究パネル

TRPGフェスティバルはTRPGを熱心に遊んでいる方々に、最高の体験をしていただくためのイベントです。

2018年度のフェスで、教育LARPである「安心からの脱出」を主催し、学術的な口頭発表パネル(いわゆるトークショー」も予定しています。
日程の詳しい情報は、下記のリンクをご覧ください。

『安心からの脱出・Village, Shelter, Comfort』(芸術型 教育LARP)

3つのシナリオで構成され、「慣れ親しんでいる安心で安全な生活世界で重大な問題が起きた時、未知で不安を伴う外界へ出るか、それとも今の生活世界に留まるか」というジレンマを体験する芸術型教育的LARPです。
日時・時間:2日目(9月1日)17:00〜24:00(予約制、TRPGフェス・ウェブサイト

口頭発表パネル 教育研究・発達支援研究・メディア研究から見たTRPG・LARPの可能性

パネル概要:海外ではTRPGやLARPを題材にした研究が、様々な領域で積極的に取り組まれています。そこで今回、TRPGフェスとしては初のアカデミックなトークセッションを企画しました。教育学や心理学、社会学などの分野でTRPGやLARPを通じた研究・実践を進めている国内外の研究者が集まり、それぞれの研究を紹介しつつ、RPGの新たな可能性を探ります。
日時・時間:3日目(9月2日)9:00〜11:00(TRPGフェス・ウェブサイト

パネル・イントロスライドPDF
発表者・司会紹介PDF

発表概要

発表1TRPGを通じた自閉スペクトラムのある子どもたちのコミュニケーション支援

自閉スペクトラム症(ASD)のある子どもは、知的な遅れがなくても、社会的コミュニケーション、特に同年代との対人関係や仲間づくりや集団活動に困難を抱えるといわれる。発表者は、TRPGを通じた発達障害のある子どもたちの余暇活動支援に長年取り組んでおり、一連の研究論文の中で、TRPGを楽しむ中で子ども間の社会的コミュニケーションにポジティブな促進が見られたことや、子どもたちの生活の質(QOL)、特に自己肯定感や友人関係などの項目が向上したことを報告している。当日のパネルでは、これまでの実践および研究の結果を紹介しつつ、TRPG活動の効果と可能性について発達支援の観点から考察する。

加藤浩平(東京学芸大学教育学部研究員)

プレゼンテーション・スライド:PDF

発表2:「Nordic Larp」入門:芸術・政治的な教育LARPの理論と実践

「Nordic Larp(ノルディック・ラープ)」という考え方が約10年前から発展している。「Nordic Larp」とは、芸術的な展望、政治的なメッセージ、または教育の目標のある洗練されたLARP経験を目指しているフレームワークである。北欧に由来しているが、現在は南アメリカからシリアまで適用された考え方になっている。

本発表では、「Nordic Larp」の背景と基本的な説明の上、主に成人向けのLARPの実践例に基づき、娯楽+αを目指すLARPのデザインや理論、「ブリード」と「没入感」をはじめ、その専門用語やアイディアを紹介したい。

ビョーン=オーレ・カム(京都大学文学研究科文化越境講座講師)

プレゼンテーション・スライド:PDF

発表3:LARPを用いた地元地域の子・若者社会福祉活動、ドイツの事情を例に

教育ゲーミングの取り組みはドイツで増えつつある。障害の有無にかかわらず、様々な社会的異文化背景を持つ子供や若者のための地域社会福祉活動でも一般的な方法となっている。ロールプレイングゲーム、特にLARPを用いて、学校現場での無気力、性同一性、インクルーシブ、政治教育、メディアリテラシーを含み、大切な問題・テーマに対する非常に個人的かつ感情的なアプローチを可能にする。責任を持ってメディアを理解し、かつ使用するために、ドイツのメディアリテラシーのアプローチは、教育RPGのストーリーテリングの側面にスムーズに統合できるインフォーマルな「体験による学習」という方略を積極的に活用している。

本発表では、都市部のメディアカルチャー教育に焦点を当てた地域の青少年活動の方法としてLARP及びLARPの要素を用いた最近のドイツでのプロジェクトを紹介する。同時に、地元地域の子・若者と一緒にLARPを実施する社会福祉士の概念的な課題は何か、メディアリテラシーの概念はRPGの経験にどのように適合しているかについて検討する。

デニーズ・パシェン(ミュンスター大学社会人類学院生、社会福祉士)

プレゼンテーション・スライド:PDF

司会:石田喜美(横浜国立大学教育学部准教授)

ディスカション・スライド:PDF

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