リモート・フィールドワークの(不)可能生について

ヨーロッパ日本研究学術交流会議(@日文研)にて、LARPに関するパンデミック時のフィールドワークと研究についての発表、2020年12月11日~13日。

日本におけるライブ・アクション・ロールプレイ(LARP)や教育ロールプレイングの研究方法論

日時: 12月13日 (日), 17:00-20:15
場所: Zoom (会議ページをご覧ください)

私は、ライブ・アクション・ロールプレイ(LARP)を二つの異なるアプローチで研究している。文化越境研究と日本研究の観点から,LARPに関連する活動が日本でどのように進化し,変化していくのか,これらの活動をめぐるコミュニティがどのように形成されていくのか,そして人々がどのようにLARPを自分たちの環境に適応させていくのかを研究している。教育者としては、研究成果を体験可能な形に変換するために、方法論的な観点からLARPを研究している。後者では、自閉症と診断された人たちの挑戦と世界観をLARPに翻訳し、他の人が彼らの人生世界を直接垣間見ることができるようにしようとするプロジェクトに取り組んでいる。

LARPは、ゲーム、即興演劇のようなキャラクターの即興、そして共有ストーリーテリングを組み合わせたものである。主催者がシナリオを作成し、プレイヤーは自分のキャラクターを通してこれを探索する。ほとんどのLARPは娯楽目的で行われるが、教育の場で使用される場合は、通常、反省のための時間を提供するために、プレイ前とプレイ後に長いワークショップが行われる。

日本での趣味としてのLARPと研究ツールとしてのLARP,どちらの研究もコロナウイルスの影響を受けている。ドイツの共同研究者との、自閉症分野のLARPに関するデザインワークショップは中止または延期せざるを得なかった。現在、オンラインでの代替案を検討中である。これは様々な形態のリモートゲームを試すLARPの実践者のアプローチと一致しているが、どちらの場合にも限界がある。本発表では、日本でのLARP実践に関連して、リモートフィールドワークと研究の可能性と限界について論じたい。

参考文献
カム・ビョーン=オーレ,2019,「「Nordic Larp」入門: 芸術・政治的な教育LARPの理論と実践」『RPG学研究』(0): 5–14.
——, 2019,「ライブ・アクション・ロールプレイ(LARP)という意識向上を目的とした シリアス・ゲーミング方法:「ひきこもり」についての LARP を例に」『作業科学研究』13(1): 32–44.
Kamm, Björn-Ole. 2020. Role-Playing Games of Japan: Transcultural Dynamics and Orderings. New York: Palgrave MacMillan.