TRPGフェス 2019
TRPGフェスティバルはTRPGを熱心に遊んでいる方々に、最高の体験をしていただくためのイベントです。
『RPG学研究』発刊記念シンポジウム
日英バイリンガルの学術誌『RPG学研究』(Japanese Journal of Analog Role-Playing Game Studies)のキックオフ・イベントとして、TRPGフェスティバルでのアカデミックなトークセッション第2弾を開催します。
『RPG学研究』誌のコンセプトやその将来的なヴィジョンについて紹介するほか、教育学や心理学、社会学や図書館研究などの分野でTRPGやLARPを通じた研究・実践を進めている国内外の研究者・実践者が集まり、それぞれの活動について報告しつつ、RPGの新たな可能性を探ります。
発表概要・発表者紹介
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■発表1:新しい学術誌『RPG学研究』―概要と目的
石田喜美(横浜国立大学)、ビョーン=オーレ カム(京都大学)
本誌では、日本のTRPGやLARPをはじめとした、非デジタル(いわゆる”アナログ”) のロールプレイング・ゲームの意義や可能性を、グローバルな文脈の中で探究し、その知見を発信していくこと目的としている。日英バイリンガルの査読付き学術誌である。テーマはTRPGやLARPなどのアナログRPGに関する理論的・実証的な研究のみならず、アナログRPGの教育的・政治的・診療的な応用についての研究など、幅広い領域が含まれている。また、研究論文のみならず、実践報告や、社会や教育の中でこれらのゲームを活用していくための資料やツール,アナログRPGについて幅広い情報提供なども歓迎する。
発表スライド:PDF.
■発表2:ASDのある子ども・青年のTRPGを通じた余暇活動支援
加藤浩平(東京学芸大学)
自閉スペクトラム症(ASD)のある子どもや青年(以下ASD児者)は、知的な遅れがなくても、社会的コミュニケーション、特に同年代との対人関係や仲間づくりや集団活動に困難を抱えるといわれる。発表者は、TRPGを通じたASD児者の余暇活動支援とコミュニケーション支援に長年取り組んでおり、一連の研究論文の中でTRPGを通してASD児者の対人相互作用や会話の維持・発展、また生活の質(QOL)にポジティブな変化が見られたことを報告している。またここ数年は、活動に参加してきたASD児者の中からゲームマスター(GM)を担当する青年たちも出てきている。当日のパネルでは、最近の研究の経過報告のほか、余暇活動の中で実施した「GM養成プログラム」に参加したASD児者の事例について紹介したい。
発表スライド:PDF.
■発表3:TRPGを活用した学校図書館での読書推進
高倉暁大(熊本県立大学図書館)
ルールブックの読み込みから始まるなど、TRPGは本(読書)と相性が良い遊びだと考えています。今回は実際に複数回に分けて中学校図書館でおこなったTRPG企画において、どのように子ども達の知的好奇心がTRPGによって刺激され、そしてそれを学校図書館がどのように発展させ、受け止めたか。という【中学校図書館でのTRPG企画の事例】をお話できればと思っています。また、私が教育の専門家ではないため、同席する先生方の感想や、一般参加の皆様からの意見など、様々な角度から議論が進むのを楽しみにしています。
発表スライド:PDF.
■発表4:TRPGの特徴と広がり、教育的活用について
保田琳(ゲームデザイナー)
加藤浩平氏の研究論文に活用された『いただきダンジョンRPG』と他のTRPGとの要素比較、『みんなでダンジョンRPG』による短時間で多人数を対象としたTRPGの紹介、司会進行役(いわゆるゲームマスター、キーパー)とプレイヤーとの対話のやり取りによる意思疎通に注視した『Un Realistic Escape Game』やロールプレイを必要とせずに物語をつくる『サモンスケート』といったTRPGの要素を分解して再構成した作品から見えるTRPGの在り方について。また教育教材への援用の可能性についても触れたい。
発表スライド:PDF.
■司会:石田喜美
■関連リンク:https://www.jarps.net
ノルディックLARP・教育LARP体験
主催:日本RPG学研究会
一般的に、LARPは「長時間・数日間かかるイベント」または「ただの娯楽」と思われがちです。しかし、海外でのLARPの事例を見ると、5分程度でできるミニ・ゲームのようなLARPも多くあり、また、社会問題や他者の視点についてプレイの中で学べる教育LARPも実施されています。
本イベントでは、政治的・社会問題的なテーマを扱うノルディックLARPや、ミニLARPの可能性と面白さ・素晴らしさを具体的に紹介したいと思います。
本イベントの各セッションでは、45分〜2時間のミニLARP(+事前の説明と振り返り)を実施します。今回はLARPのテーマとして、現在日本でも社会問題の1つとして注目されているジェンダーやセクシュアリティの問題、そして、人生における重要な選択やアイデンティティといった問題を取り上げました。ロールプレイを楽しみつつ、シナリオを通して、これらの問題に対する意識を向上させる体験をしていきます。
「LARPやTRPGにはこの世を変える力がある!」かもしれません。少なくとも我々主催者はそう信じています。皆さんもその可能性や面白さを体験してみてください。
各シナリオの詳しい説明をここからダウンロードできます。
■シナリオ1:パジャマ・パーティー(1日目)
【ジョナヤ・ケンパー作】
友達同士のつながり、思春期の成長、そして社会の中心から取り残された者として生きることについてのLARPです。 あなたは今、「何者」ですか?友達の手助けによって「何者」になれるのでしょうか?
各プレイヤーは、日々、社会から取り残された自分に直面しければならない、複数の女の子キャラクターを演じます(プレイヤー自身の性別は関係ありません)。キャラクターは全員12歳の「負け犬(スクールカーストから取り残された女子たち)」です。けれども彼女たちには互いに築きあげてきた強いつながりがあります。彼女たちにとって、同世代の他の人たちから人気がないことは、重要ではありません。このLARPでは、彼女たちのうちのひとりの誕生日の日に集まり、パジャマ・パーティを開催するところからプレイがスタートします。彼女たちはパジャマ・パーティで互いの秘密を共有しあい、友情を深めていきます。
キーワード:大人になること、社会から取り残されたアイデンティティ、セクシュアリティ、人種差別、性差別、友情
プレイヤー定員:4~6名
プレイ時間:60分
■シナリオ2:マニック・ピクシー・ドリーム・ガール(MPDG)特殊部隊!(2日目)
【リジー・スターク作】
「マニックピクシードリームガール」(MPDG)は、映画に登場する「お決まりのキャラクター」です。基本的に「ダメ男を元気づける、自由奔放な人生の恋人」と定義されています。
プレイヤーの演じるキャラクターはSTEM(科学、技術、工学、数学/医学)の分野で働きたいと思っている女性(キャラクターは女性ですが、プレイヤー自身の性別は関係ありません)。しかし、彼女には、自分自身の選んだ分野で大学院に通うだけの金銭的な余裕がありませんでした。しかし軍隊が、大学院教育のための費用を支払ってくれるというので、彼女は軍に入隊することを決心します。軍の上官は、彼女を「マニックピクシードリームガール特殊部隊(MPDG特殊部隊)」に任命しました。このLARPでプレイヤーたちは、MPDG特殊部隊チームの最後のミッションをプレイします。ミッションに成功すれば、服務期間を終えて、民間人としての生活に戻り、希望する大学院に学費免除で進学することができます。
もし失敗したら?――ああ、なんてことでしょう!このチームには、失敗なんて言葉はないのです!
キーワード:ひらかれた場、見知らぬ人との出会い、チームワーク、荒唐無稽なミッション
プレイヤー定員:4~5名
プレイ時間:45分
■シナリオ3:辺獄(リンボ)~忘れ去られた場所(3日目)
【トアー・シェティル・エドランド作】
「辺獄」とは、キリスト教で、死後、地獄には行かないが、キリストの贖いによって救われるまでは天国に行けない人がとどまると考えられた場所。時空を超越した場所、生と死の間に存在するとされるこの場所が、このLARPの舞台です。再び命ある世界に戻るか、死の向こう側にある未知に直面するか、今までの人生について考える「待合室」です。キャラクターは、現代社会からこの世界へとやって来た、生と死との間をさまよう人たちの集団です。
キーワード:実存的選択、夢、未知への不安、精神性
プレイヤー定員:6~12名
プレイ時間:120分
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